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卒業袴の歴史

2021.01.06

こんにちは。成人式が終われば、次は3月の卒業シーズンですね。今日は卒業袴について調べてみました。
卒業袴といえば、大学の卒業式のイメージですね。最近は小学校の卒業式にも着用されつつあります。私のイメージは小学校の先生が卒業式に袴を着て出席、涙・・・という昔の想い出がありますね。
そもそも女性が袴を着る、とはどういった意味があるのでしょうか。袴というと「七五三」では男の子が身につける衣装であるほか、時代劇などでも男性の衣装として扱われています。なぜ、女性が卒業式で袴を着るようになったのでしょうか。
袴の歴史は古く、なんと古墳時代から「はかま」と呼ばれる衣装が存在していたそうです。ただし、古墳時代の「はかま」は幅の広いズボンのような形状で、脚結という紐を使って膝の下を結んで着るという、現在の袴とは異なる形式の衣装でした。また、古墳時代の「はかま」は男性のみが着用しており、女性は「裳(も)」というスカートのような衣装を着ていたようです。
時代が下って平安時代になると、男性だけではなく貴族の女性が朝廷での正装として袴を着用するようになりました。しかし、当時の女性用袴はくるぶしまで包む丈の長いキュロットスカートのような形状で、裾を蹴り上げないと立って歩くこともままならないなど、現在のものとは形が異なります。女性は大変ですね・・・。
平安時代から江戸時代までの間、女性用の袴は一般女性の間にも広がり、「女性の正装」として存在し続けていました。しかし、江戸時代に入ると性別や身分によって身なりが厳しく制限されるようになり、女性用の袴は宮廷の女官たちだけが着る事ができる衣装になり、袴=男性の衣装という形式が成立したそうです。性別や身分の違いによって身なりを制限されるなんて、今では考えられませんね。平安時代から江戸時代は意外と不自由な時代だったのかも・・・。逆に古墳時代の方が自由そうですね!
やがて江戸時代が終わると、それまでに設けられていた服装の制限がなくなり、男性も女性も比較的自由に服を着ることができる明治時代が訪れました。さらに、「女性に学問は不要」とされていた時代が終わり、華族を中心とした女子向けの「女学校」が開校され、女学校の制服として動きやすい「袴」が採用されるようになったそうです。
当初の袴は男性が着用していたズボン型の袴でしたが、ズボン型の袴は女性にとって不便なことも多く、あまり実用的ではありませんでした。
しかし現在のスカート型の袴が考案されると、「優美さ」と「機能性」を兼ね備えた袴が学問の場にふさわしい服装ということで、女学校の制服として本格的に導入されるようになりました。「機能性」だけでなく、「優美さ」も求めるとは、なんとも贅沢で素晴らしいですね。まさにファッションとは文化や社会が作り出すものなんですね。
明治時代から女性が教育を受けられる環境が整ってきたとはいえ、当時の女性にとって高等女学校は「高嶺の花」であり、特権階級の女性だけが進学できるという状況でした。そのため、女学生の袴姿は「身分の象徴」であり、多くの女性にとって憧れの存在だったようです。
明治期になって女学生の制服として考案された女袴は、宮中の女官服に由来しており、学問の場にふさわしいきちんとした身なりとして受け入れられました。従来の着物に帯というスタイルに比べて、動きやすいという機能面はもちろん、優美さと礼容を兼ね備えているという点も、袴が制服として採用されたポイントだったようです。こうした歴史からも、袴は卒業式という厳かな式典の場の衣装として着られているのでしょう。
明治時代、袴は女学校で制服として採用され、教師も袴を着ていました。当時、高等女学校への進学率は低く、当時の女学生は、いわば特権階級でした。彼女たちの袴姿は「女学生」という身分の象徴であり、多くの女子たちのあこがれだったようです。
現在、生徒たちの旅立ちの舞台である卒業式で、女子学生や教職員に袴スタイルが受け継がれているのは、こうした学業との結びつきという側面もあるのでしょう。
女学校の制服として採用されたスカート型の袴は「行灯袴」と呼ばれ、女性が身につけることから「女袴」とも呼ばれます。一方、ズボン型の袴は「馬乗袴」と呼ばれ、江戸時代までは男性の正装などに用いられてきました。
しかし、女性が正装として行灯袴を身につけるようになると、男性の正装用の袴として行灯袴が取り入れられるようになり、現在は性別に関係なく行灯袴=正装用の袴、馬乗袴=剣道や弓道などの衣装として定着しているようです。 
明治後期から大正にかけて、女学生たちは当時のファッションリーダーでした。西洋への憧れを抱き、明治後期に革靴のブーツが販売されると、いち早く取り入れ、袴にブーツを合わせたスタイルを大流行させました。そして髪には大きなリボンを付けたりと、和装に西洋のアイテムをミックスしたファッションを楽しんだそうです。現代の女性たち(男性も)と同じですね。制服を少しでも可愛くする、身に着けるもので個性を表現するなど、前向きな意識が伝わってきます。
脈々と受け継がれてきたこの流れをお客様が体験されると思うと、なんだか壮大な歴史の中の1ページをつないでいるようです。卒業される皆さん、出席される先生方も、それぞれの楽しみ方で自由な装いをして頂きたいと感じました。卒業袴にはこんな歴史が背景にあったんですね。
参考文献 女學生らいふ・ポーラ文化研究所

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